夏の旅行シーズンが本番を迎えました。空港、駅、ホテルのロビー、観光地のカフェ——スマホの画面には次々と「無料Wi-Fi」の名前が並びます。編集部でも出張や取材でよくお世話になるのですが、便利さの裏で気になる手口が改めて注目されています。それが「Evil Twin(悪魔の双子)」と呼ばれる、本物そっくりの偽Wi-Fiです。
海外・国内を問わず、2026年に入ってからも公衆Wi-Fiを悪用した通信の盗み見(中間者攻撃)への注意喚起が続いています。今回は「怖い話」で終わらせず、旅先で個人ができる現実的な対策まで、編集部の視点で整理してみます。
「偽Wi-Fi」はなぜ見抜きにくいのか
Evil Twinとは、正規のフリーWi-Fiと同じ、あるいはよく似た名前(SSID)を持つ偽のアクセスポイントのことです。攻撃者が自分で用意したWi-Fiに、たとえば「Airport_Free_WiFi」や「Cafe_FREE」といった、いかにも本物らしい名前を付けて電波を飛ばします。
やっかいなのは、見た目でほとんど区別がつかない点です。スマホのWi-Fi一覧に同じような名前が二つ並んでいても、どちらが本物かは名前だけでは分かりません。しかも、うっかり偽物につないでしまうと、そのあとにやり取りした情報が、間に割り込んだ相手に筒抜けになる恐れがあります。
- 同じ・そっくりな名前のWi-Fiが複数見える
- パスワードなしで、やたら簡単につながる
- 接続後、見慣れないログイン画面や同意画面が出る
こうしたサインは「絶対に危険」という証拠ではありませんが、立ち止まる合図にはなります。特に、暗号化キー(パスワード)が設定されていないWi-Fiは、通信がそのまま流れやすく、盗み見のリスクが高いと言われています。
つないだ瞬間に、何が危ないのか
「見るだけなら大丈夫では?」と思うかもしれません。編集部も以前はそう考えていました。ですが、偽Wi-Fiを経由すると、ログイン情報やクレジットカード番号、メッセージの中身といった、本来は見られたくない情報が読み取られる可能性があります。旅先では宿の予約確認や決済など、ふだんより大事な操作をしがちなだけに、被害の“重さ”も増えてしまいます。
もっとも、今のスマホやアプリの多くは通信自体を暗号化しています。ブラウザのアドレスバーが「https」で始まっていれば、そのやり取りは比較的守られています。それでも、接続先の名前を書き換えられたり、偽のログイン画面に誘導されたりする手口までは、暗号化だけでは防ぎきれません。フリーWi-Fiの危険性と基本的な自衛策は、フリーWi-Fiは危険だらけ?今すぐできる5つの自衛策でも詳しくまとめています。
旅先で、今日からできる自衛策
とはいえ、旅行中にWiFiをまったく使わないのは現実的ではありません。編集部が実践している、無理のない範囲の対策を挙げてみます。
- 接続前に、そのWi-Fiの正式名称を店員や掲示で確認する。似た名前が複数あるときは、正規のものを店の人に一言たずねるのが一番確実です。
- Wi-Fiの「自動接続」をオフにしておく。知らないうちに怪しい電波につながるのを防げます。
- フリーWi-Fi中は、ネット銀行やカード決済など“お金がからむ操作”は避け、可能なら携帯回線(4G/5G)に切り替える。
- ブラウザのアドレスが「https」で、鍵マークが出ているかを確認する。警告が出たら、そのまま進めない。
- 通信を暗号化するVPNを使う。偽アクセスポイントにつながっても認証に失敗して気づけることがあり、“異変のセンサー”としても役立ちます。
特に最後のVPNは、旅先での保険として編集部も評価しています。ただし「無料だから」という理由だけで選ぶと、かえって通信の中身を集められてしまうサービスもあります。選び方の考え方は無料VPNは本当に危険?有料との決定的な違いと選び方にまとめているので、あわせてご覧ください。
編集部の意見
フリーWi-Fiそのものは、旅先や外出先で通信量を気にせず使える、ありがたい仕組みです。編集部はこれを「使わないほうがいい」とは思いません。大切なのは、便利さと引き換えに“見えないリスク”があると知ったうえで、危ない場面だけ慎重になることだと考えています。
偽Wi-Fiは、本物のふりをして近づいてくるからこそ怖い相手です。けれど、名前を確認する、自動接続を切る、お金の操作は控える——この程度の習慣でも、リスクはかなり下げられます。この夏の旅行が、余計な心配のない、楽しい時間になりますように。編集部も同じ目線で、これからも役立つ情報をお届けします。









