VPNをどれだけ頑丈にしても、玄関のカギを他人と共有していたら意味がない——。最近の不正アクセス事件を追っていて、編集部はそう感じています。狙われているのはVPNの“性能”ではなく、私たちが使っている“ID・パスワード”そのものなのです。

2025年末から2026年にかけて報告された不正アクセス事件を見ると、攻撃者がVPN機器の弱点を破って侵入したというより、「正しいIDとパスワードを使って正面からログインしていた」ケースが目立ちます。つまり、暗号がどれだけ強くても、カギ(パスワード)を握られていれば、攻撃者はまるで本人のように堂々と入ってこられるのです。

VPNは“通り道”を守る道具。でも、入り口のカギ=パスワードが弱いと、その道はそのまま攻撃者にも使われてしまいます。

なぜ“使い回し”がここまで危ないのか

多くの人が、いくつものサービスで同じパスワードを使い回しています。どこか1社から情報が漏れると、そのID・パスワードの組み合わせは、闇市場で出回ります。攻撃者はそれを手に入れ、「同じカギで別のドアも開くのでは?」と、片っ端から試していくのです。これが“使い回し”が命取りになる理由です。

POINT
  • 1つのサービスから漏れたパスワードが、他のサービスの侵入に使われる
  • 攻撃者は自動プログラムで大量のログインを試すため、人力より圧倒的に速い
  • VPNやメール、SNSなど“入り口”が1つ破られると被害が連鎖する

「自分は大した情報を持っていないから狙われない」と思うかもしれません。でも攻撃者は個人を選んでいるわけではなく、開くドアをただ機械的に探しているだけ。だからこそ、誰にとっても他人事ではないのです。

編集部がすすめる、今日からの3ステップ

むずかしい知識はいりません。編集部がまずお願いしたいのは、次の3つです。

  1. パスワードの使い回しをやめる。せめてVPN・メール・ネット銀行など“大事な入り口”だけでも別々のパスワードにする。パスワード管理の道具を使うと、覚えなくても安全に増やせます。
  2. ログインに、パスワード+もう一段の確認(二段階認証)を足す。たとえパスワードが漏れても、これがあれば入られにくくなります。
  3. 自分のメールアドレスが過去の漏えいに含まれていないか、ときどき確認する。心当たりのあるサービスは、すぐパスワードを変える。

ただし、注意点も正直に

二段階認証は万能ではありません。確認コードを本人からだまし取る手口(フィッシングやSMS詐欺)もあります。届いたメールやSMSのリンクからは開かず、必ず自分でアプリや公式サイトを開いてログインする——この一手間が、最後の砦になります。

VPNは大切な守りの一つですが、“それだけ”では足りません。カギ(パスワード)を強くして初めて、VPNの頑丈さが活きてきます。

編集部の結論はシンプルです。高性能なVPNを選ぶのと同じくらい、「同じカギを使い回さない」ことを大切にしてほしい。今日、いちばん使い回していそうなパスワードを1つ変える。その小さな一歩が、いちばん効く対策です。

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