「大企業でVPNの時代が事実上、終わる」——2026年に入って、そんな見出しをよく見かけるようになりました。長年おなじみだったVPNが終わる、と聞くとドキッとします。でも編集部は、この話を個人がそのまま真に受ける必要はない、と考えています。

セキュリティ会社の予測によると、2026年末までに多くの大企業がVPNを廃止するか、古い用途だけに限って使うようになるとみられています。背景にあるのは、社員が使う会社のVPN機器が攻撃者に狙われやすくなっていることです。警察庁の調べでは、ランサムウェア被害の感染経路の約6割がVPN経由だったという報告もあります。

ここで言う「終わる」VPNは、会社が社員のために用意する“社内ネットワークへの入り口”のこと。私たち個人がスマホやパソコンで使う「通信を守るVPN」とは、目的も仕組みも別物です。

「会社のVPN」と「個人のVPN」は別物

同じ「VPN」という言葉でも、役割はかなり違います。会社のVPNは、外にいる社員を社内システムにつなぐための“専用の裏口”です。この裏口が古いままだと、そこを破られて会社全体が危険にさらされます。だから大企業は、より細かく本人確認をする「ゼロトラスト」という新しい考え方へ移りつつあるのです。

POINT
  • 会社のVPN=社内ネットワークへの入り口。企業のIT担当が管理する大がかりな仕組み
  • 個人のVPN=自分の通信を暗号化して守る道具。カフェのWi‑Fiなどでの盗み見を防ぐ
  • 「終わる」と言われているのは前者。後者の役割はなくなっていない

つまり、ニュースで「VPNの終焉」と言われても、あなたがスマホに入れている個人向けVPNが役に立たなくなる、という話ではありません。むしろ、公共Wi‑Fiでの通信の盗み見対策としては、今も有効な手段のひとつです。

この話から個人が学べること

とはいえ、「企業のVPNが狙われている」という事実は、個人にとっても大事なヒントを含んでいます。それは“古いまま放置した入り口は狙われる”ということ。これは会社に限った話ではありません。

  1. 使っているVPNアプリやスマホ・パソコンを、こまめに最新へ更新する。古いソフトの弱点は、攻撃者にとって格好の入り口になります(古いVPNの危険もあわせてどうぞ)。
  2. VPNにログインするID・パスワードを使い回さない。VPNが頑丈でも、カギを共有していれば意味がありません。二段階認証も足しておくと安心です。
  3. 「有名だから」ではなく、記録を残さない方針(ノーログ)や運営元がはっきりしているかで、個人向けVPNを選ぶ。
編集部の意見:「VPNの時代が終わる」という言葉に、個人が振り回される必要はありません。大切なのは“古いものを放置しない”という基本。それは会社でも家庭でも変わらない、ずっと効く対策です。

新しい技術の名前が出てくるたびに、「今までのやり方はもうダメなのか」と不安になりがちです。でも本質はいつもシンプル。入り口をきちんと管理し、こまめに手入れをすること。難しい専門用語よりも、その積み重ねのほうが、あなたの毎日をしっかり守ってくれます。

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