「無料でプライバシーを守れます」——そう書かれたVPNアプリを、スマホに入れている方は多いと思います。ところが2026年に出た複数の調査を読んで、編集部は思わずヒヤリとしました。守ってくれるはずの無料VPNの一部が、実は自分の情報をこっそり外へ流していた、というのです。

ある調査では、人気の無料Android向けVPNアプリの約9割で、本来隠すはずのIPアドレスやアクセス先(DNS)などが漏れていたと報告されています。別の調査でも、18本の無料VPNのほとんどに「トラッカー」と呼ばれる追跡用の部品が入っていて、カメラやマイク、連絡先、正確な位置情報まで求めてくるものがあったそうです。これはもう、プライバシーを守る道具というより“見張り役”に近い、という指摘まで出ています。

トラッカーとは、アプリの中に組み込まれた「利用者の行動を記録して外部に送る仕組み」のこと。広告会社などにデータを渡すために使われることが多く、無料アプリの“もうけの種”になっている場合があります。

なぜ「無料」なのに危ないの?

VPNをきちんと運営するには、世界中のサーバーや通信設備、安全を保つための更新など、かなりのお金がかかります。ところが完全無料をうたうアプリは、その費用をどこかで回収しなければなりません。その“どこか”が、実は利用者のデータそのもの、というケースがあるのです。ある調査では、人気の無料VPN100本のうち半数近くが、外部の会社にデータを送るコードを含んでいたとされています。

POINT
  • 無料VPNの一部は、通信を守るどころか閲覧履歴や位置情報を集めて外部に渡していることがある
  • 運営元がはっきりしないアプリも多く、「誰が」「どの国のルールで」データを扱うのか分からない
  • 隠すはずのIPアドレスやアクセス先が漏れ、かえって身元が特定されやすくなる例もある

編集部の意見:無料が悪いのではなく「選び方」が大事

ここで誤解してほしくないのは、編集部は「無料VPN=全部ダメ」と言いたいわけではない、ということです。有料サービスを本業にしている会社が、宣伝も兼ねて出している無料プランには、第三者による監査を受け、記録を残さない方針(ノーログ)をきちんと公開しているものもあります。問題は“無料そのもの”ではなく、「中身が分からないアプリを、名前や星の数だけで選んでしまうこと」だと私たちは考えています。

とはいえ、一般の利用者がアプリの中身を細かく調べるのは現実的ではありません。だからこそ、選ぶ時点でいくつかの目印を持っておくことが大切です。無料と有料の違いについては、以前まとめた無料VPNは本当に危険?有料との決定的な違いと選び方もあわせて読んでみてください。また、正規を装った危険なアプリについては“偽VPNアプリ”への警鐘でも取り上げています。

今日からできる、無料VPNの見極めポイント

  1. 運営元がはっきりしているか確認する。会社名・所在地・問い合わせ先が見当たらないアプリは避ける。
  2. 「ノーログ(記録を残さない)」を掲げ、かつ第三者の監査を受けていると公開しているものを選ぶ。
  3. インストール時に求められる権限に注目する。VPNなのにカメラ・マイク・連絡先を求めるなら、いったん立ち止まる。
  4. 広告だらけ・レビューが不自然に高評価ばかりのアプリは、いったん疑ってみる。

VPNは、正しく選べばカフェのWi‑Fiなどで通信を守ってくれる心強い味方です。でも「無料だから」と中身を確かめずに入れてしまうと、守るどころか情報を渡してしまうことにもなりかねません。今日はスマホに入っているVPNアプリの運営元を、一度だけでいいので確かめてみる——編集部からのささやかな提案です。

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