ふだん意識しませんが、私たちはサイトを開くたびに「DNS」という仕組みを使っています。この通信を暗号化して守るのがDoHやDoTです。少し専門的に聞こえますが、たとえで考えればシンプルですよ。

👩
初心者さん
DoHとかDoT……アルファベットが並ぶと、それだけで身構えてしまいます。
👨‍💻
編集部
大丈夫です。まずはDNSが電話帳のようなものだと知るところから始めましょう。

そもそもDNSって何をしているの?

DNSは、人が読める「example.com」のような名前を、コンピューターが使う数字の住所(IPアドレス)に翻訳する仕組みです。いわばインターネットの電話帳のような役割で、サイトを開くたびに裏側でこの照会が行われています。

ところが従来のDNSは、この照会内容が暗号化されずに流れていました。つまり「あなたが今どのサイトを見ようとしているか」が、通信経路の途中で見えてしまう状態だったのです。

ポイント: ページの中身がhttpsで暗号化されていても、DNSの照会だけは丸見え——という盲点がありました。

DoHとDoTのちがい

そこで登場したのが、DNSの照会そのものを暗号化する技術です。代表的なのがDoH(DNS over HTTPS)DoT(DNS over TLS)の2つです。

2つの方式のちがい
  • DoH: Webと同じhttpsの通り道でDNSを暗号化。普通の通信に紛れて見分けにくい
  • DoT: DNS専用の暗号化された通り道を使う。管理者から見て区別しやすい
  • どちらも「名前解決の中身を隠す」という目的は同じ

細かな違いはありますが、利用者としてはどちらも照会内容を守ってくれると理解すれば十分です。難しい仕組みは技術者に任せておけば大丈夫ですよ。

👩
初心者さん
中身を隠せると、どんな良いことがあるんですか?
👨‍💻
編集部
見ているサイトを推測されにくくなるんです。特に外のWi-Fiでは効果が大きいですよ。

暗号化DNSのメリット

暗号化DNSを使うと、同じネットワークにいる第三者やWi-Fiの提供者から、アクセス先を推測されにくくなります。プライバシーを一段引き上げてくれるわけです。

また、偽の住所を返して別のサイトへ誘導するDNSの改ざんへの耐性も高まります。フリーWi-Fiのように誰が管理しているか分からない環境ほど、恩恵は大きくなります。

VPNとの関係

実は多くのVPNは、接続中のDNS照会も自社の暗号化トンネルの中で処理します。つまりVPNを使えば、DNSの中身もまとめて守られるということです。

守る対象暗号化DNS単体VPN利用時
DNSの照会内容守られる守られる
通信全体の経路守られない守られる
IPアドレスの秘匿されないされる

VPNを使っていても設定の不備で照会が外に漏れることがあり、これをDNSリークと呼びます。くわしくはDNSリークとはで解説しています。

あわせて確認: 通信の暗号化そのものについてはVPNの暗号化の仕組みもどうぞ。

自分で使うには?

最近のブラウザやスマホには、暗号化DNSの設定項目が用意されていることが増えました。設定内の「セキュアDNS」「プライベートDNS」といった項目をオンにするだけで有効になる場合があります。

ただし社内ネットワークなど管理された環境では、方針により使えないこともあります。うまく繋がらないときは無理に変更せず、環境の管理者の案内に従うのが安心です。

むかしのDNSはなぜ“丸見え”だった?

DNSの仕組みは、インターネットが広く使われ始めたころに設計されました。当時は速く正確に住所を返すことが最優先で、盗み見への備えはあまり重視されていませんでした。だから照会はそのまま流れていたのです。

しかし、公共Wi-Fiが当たり前になり、通信を横から観察できる環境が身近になりました。すると「どのサイトを見ようとしたか」という情報が、プライバシー上の弱点として意識されるようになります。暗号化DNSは、こうした時代の変化に合わせて広まってきた技術です。

覚えておきたい: https(サイトの暗号化)とDNSの暗号化は別もの。両方そろって、はじめて“どこを見ているか”まで隠せます。

こんな場面で効いてくる

たとえば出張先のホテルのWi-Fi。暗号化DNSを使っていれば、そのネットワークの管理者にアクセス先の一覧を把握されにくくなります。仕事の調べ物やプライベートな閲覧を、そっと守れるわけです。

👩
初心者さん
なるほど、外のネットワークほどありがたいんですね。
👨‍💻
編集部
そのとおりです。自宅より、誰が見ているか分からない場所でこそ価値が出ますよ。

よくある誤解を解いておく

「暗号化DNSにすれば匿名になる」と考える方がいますが、これは誤解です。守られるのは名前解決の“中身”だけ。あなたのIPアドレスや、接続先サーバーとの実際のやり取りは、暗号化DNSだけでは隠れません。

あくまで「どのサイトを見ようとしたか」という照会情報を守る技術だと理解しましょう。より広く匿名性や経路全体を守りたいなら、VPNやその他の対策と組み合わせるのが前提です。過信せず、役割を正しく捉えることが大切です。

まとめると: 暗号化DNS=“翻訳の中身”を守る。VPN=“経路とIP”まで守る。重ねるほど死角が減ります。

よくある質問

Q. 暗号化DNSにすれば、VPNは不要ですか?

A. いいえ。暗号化DNSは名前解決だけを守る仕組みで、通信経路全体やIPアドレスは守りません。守る範囲が違うので、目的に応じて使い分け・併用を考えるのがおすすめです。

Q. 速度は遅くなりますか?

A. わずかな差はありますが、日常利用で体感できるほどではないことがほとんどです。気になる場合は速度を上げるコツも参考にしてください。

まとめ:見えない照会も、そっと守る

暗号化DNS(DoH/DoT)は、サイトを開くたびの“翻訳”を暗号化する仕組みです。単体でも役立ちますが、経路全体まで守りたいならVPNとの組み合わせが心強い味方になります。仕組みを知って、上手に使い分けていきましょう。

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